変わらない大切なもの

人間は利己的な生き物である

人の本性がわかるのは?

「人間は、みな利己的だ」などと口にすると、嫌がる人たちもいます。しかし、あらゆる状況で人の行動を見た場合、少なくとも真実の一端を突いていることは確かです。

マキャベリも人の性質について、次のように述べています。『そもそも人間は、恩知らずで、むら気で、猫かぶりの偽善者で、身の危険をふりはらおうとし、欲得には目がないものだ』と。すべての人が必ずしもそうだとは言いません。

しかし、程度の差こそあれ、これはおおむね的を得ているのではないでしょうか。確かに、他人に対して親切な人は大勢います。これも、否定できない事実です。

しかし、平和な日常生活を送っているときは他人に親切な人でも、災害などの非常事態に遭遇すると、自分のことで精いっぱいになって利己的になることがあります。なかには、自分のためなら他人を犠牲にすることも濤膳しなくなるところまで、豹変する人もいるのです。

これが、『非常時にその人の本性がわかる』といわれる由縁でしょう。また、世の中にはボランティア活動のような無償の献身的行為を行っている人もいますが、そういう人でも「人々の役に立てるのがうれしい」という満足感や、「困っている人々を助けることができた」という達成感を感じているのは事実でしょう。

そうした人々について、「満足感や達成感を得ているのだから無償ではない」とする考え方もあります。一見すると利他的なように振る舞っている人でも、実は何か見返りを期待しているという場合もあるのです。

このように、人が利己的かそうでないのかについては、状況や見方によって違ってきます。ですから「人はみな利己的」という主張も、とらえ方によってはあながち間違いではないのです。

人間には心がありますから、普段は自分の欲望だけではなく、道徳や社会的な抑制なども考慮して行動します。しかし、人間は同時に動物でもあるので、危機的状況に遭遇すると生存本能が命じるままの行動が、前面に出てくることもあるのです。

人は利己的だと考えて対策を立てておく

先述したように、人の行動は平時と非常時ではかわってきます。人々を率いるリーダー、とりわけ国家の君主ともなれば、常に非常時のことも念頭に置いておく必要がありますから、人の本質についても非常時のものを想定しておいたほうがよいわけです。

マキャベリの言葉が過激に聞こえたとしても、それが非常時をも想定したものだと考えれば納得できるでしょう。人は利己的な行動に走るものだと考えておけば今あらかじめ対応を考えておくことができます。

考えたことが役に立つ日はこないかもしれませんが、いざというときに裏切られたりして、慌てるよりはましです。肝心なのは人が利己的かどうかではなく、そうだった場合を想定して対策を考えておくことなのです。

関連記事一覧

Category

PAGE TOP