変わらない大切なもの

人は自分のことしか考えていない

生活に困ると民衆は不満を口にする

現在の民主主義国家では、政治家、つまり、為政者になったり、何か政策を打ち出す場合、国民からの支持が必要です。しかし、為政者が国家全体をみて本当に必要だと判断した政策でも、国民は自分たちが痛みを伴う場合はなかなか支持をしません。

為政者は、国民の支持を得られなければ為政者でいられませんから、おのずと人々に媚びた政策しか打ち出せなくなり、やがては国家が衰退していきます。

政治に関わる者のなかには、本気で国を立て直そうとする人もいますが、国民が自分の都合しか考えない場合、その意志は障害でしかありません。逆に、政治の舞台で利権をむさぼりたい為政者にとっても、やはり国民の意志は邪魔になります。

1〜2世紀にかけて活躍した口lマの風刺詩人ユウェナリスの言葉に「パンとサーカス(パンと見世物ともいう)」があります。「食べ物と余暇を潰す娯楽さえあれば、人はおおむね満足する」ということで、為政者が民衆の意識を政治から遠ざけておく手段の例として使われるものです。

これは古代ローマ時代の様子を風刺した言葉ですが、何も古い時代だけのことだけはありません。現代でも、人々の収入が十二分にある場合、人々はあまり政治に興味を示しません。しかし、国の経済状況が悪化して影響が個人に及ぶと、ようやく人々も実感できるようになります。

すると、とたんに「政治が悪い。なんとかしろ」と声高に叫びはじめ、急に選挙に行くようになったりします。ですが、それまで政治に無関心だった人の知識はたかが知れています。

そうした人々がにわかの知識を頼りに投票した結果、さらに無能な人々を政界に送り込むことになって、状況がさらに悪化したりするのです。どこかで聞いたような話ですが、少なくとも民主主義の国においては、民衆に支持されない者は政治の舞台に立てないはずです。

ですから、『政治が悪い』という発言は『我々が悪い』と認めていることにもなるのです。しかし、そうした言葉を口にする人たちは、政治をどこか遠いことのように捉えているので、なかなか改善されていきません。

人は普通に暮らせれていればほぼ満足

マキャベリは君主が人々に憎まれないための方法のなかで、二般大衆は財産や名誉を奪われない限り満足して生活し、したがって君主は少数者の野心とだけ戦う必要があるだけに過ぎず禅この野心を抑圧する手段は数多くあり容易である』と主張しています。

名誉が組み込まれているのは、マキャベリが生きていた時代に名誉が重んじられていたためです。「パンとサーカス」とマキャベリの言葉は、どちらも『人々は日常生活を普通に送れればほぼ満足するもの』という点で共通しているといえます。

しかし、為政者を選ぶのは国民ですから、生活を守ろうと思うなら、それに適した人を自分たちで選ぶ必要があります。そうしなければ、「自分さえ満足できればよい」という環境すら守れません。

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