変わらない大切なもの

褒美は大盤振る舞いせず小出しにする

なぜ大盤振る舞いはいけないのか

人を動かすための方法はいくつかあります。なかでも一番わかりやすいのは、「人はインセンティブに反応する」でも述べたように、何か褒美を用意することでしょう。問題は、何をどの程度褒美とすればよいかです。

乱世においては、領主たちは臣下たちの働きに応じて、戦争で切り取った新たな土地を褒美として与えていました。この方法は、新たな土地を得る余地が残されていたり、自身が所有する土地に余剰がある場合は可能です。

しかし、自分の勢力が拡大して臣下が増えていき、逆に各地に大勢力しか残らなくなって簡単に土地を得られなくなると、各領主たちはて、常に頭を悩ませることになりました。土地ではなく、別の形に変えればよいと思うかも知れませんが、臣下たちは土地が得られるからこそ命がけで戦うのです。

それまで、土地が褒美ではなかった場合ならともかく、そうでなければ褒美に不満を感じるようになり、働かなくなってしまいます。会社に置き換えて考えると、単純に思いつくのは給料や報酬額をアップさせることでしょう。

しかし、何かあるたびに増額していたのでは、そのうち会社の金庫が空になってしまいます。妥当な報酬すら払えなくなってしまったら、周囲の人は離れていってしまうでしょう。状況を説明して、我慢してもらえばいいと思うかも知れません。

しかし、大盤振る舞いをされ続けた人は、それが普通になってしまうので、少ない褒美では不満を感じて動かなくなります。大盤振る舞いは一時的に人を集める手段としては効果的ですが、継続的に長く人を繋ぎとめておく手段としては不適切なのです。

褒美は少しずつ頻繁に出した方が効果的

マキャベリは『恩恵は人がそれをよりよく味わえるように、少しずつ与えられるべきである』と述べています。これは、『人は大きな褒美を一回だけもらうよりも、小さな褒美を数回にわたってもらうほうが、より恩義を感じやすい』ということです。

人は大きな褒美をもらったら、そのときは大きな印象を受けるでしょう。ですが、それっきりになってしまうと「頑張ってるつもりだけど、評価されてないのだろうか」「もう、自分を見てくれていないのだろうか」と、不安や不満が湧いてきます。

ですから、褒美を出す頻度は多い方がいいのです。与える褒美は、ちょっとした差し入れをするとか、ねぎらいの言葉をかけるとか、その程度でよいのです。

『あなたを気にかけている』『頑張っている姿をちゃんと見ているよ』というメッセージを、相手に伝えることが重要です。これなら褒美を出すにも負担になりませんし、相手もモチベーションを保つことができます。褒美は『少しずつ頻繁に』出すのがコツなのです。

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