変わらない大切なもの

常に最悪を想定する

世の中に完全無欠なことなどない

一国の経済政策というのは、社会全体に大きな影響を及ぼします。経済政策を誤ると、財政危機などの重大な事態を招きかねません。そうなると、国民生活にも甚大な被害が及びますから、経済政策というのは慎重にも慎重を期して決定されなければなりません。

そのため、経済政策の決定では『ミニマックス原理』に則るのが基本原則だとされています。「ミニマックス原理」とは、経済学の用語で『想定されうる最大損失が最小になるようにする選択』を指します。

つまり、ある目的を達成するための政策が複数ある場合、『仮にうまくいかなくても損失が最小になるような政策を選択すべきだ』というわけです。これについては、マキャベリも同じことを言っています。

すなわち、『われわれが常に心しておかねばならないことは、どうすればより実害が少なくてすむか、ということである。そして、とりうる方策のうち、より害の少ない方策を選んで実行すべきなのだ。なぜなら、この世の中に、完全無欠なことなど一つとしてありえないからである』というものです。

この考え方はビジネスにおいても、もちろん役立ちます。たとえば、あなたが商品の開発責任者で、「斬新で大ヒットするかもしれないが、逆にまったく売れない可能性もある商品A」と「定番モノで大儲けはできないが、確実に利益が見込める商品B」の2つのプランがあったとします。

では、この商品A・Bのうちどちらを採用すべきか?マキャベリの助言に従えば「より害の少ないほう」、つまりBを採用すべきという答えになります。「それでは、あまりにもチャレンジ精神がないのでは?」と思うかもしれません。

確かにその通りで、ときには商品Aを採用するような、思い切ったチャレンジも必要でしょう。ただし、そのチャレンジが失敗したときのリスクも十分に考えるべきです。間違っても「社運をかけて」とか「巨額の費用を投じて」といったプロジェクトで、このような過大なリスクを負うべきではありません。

ビジネスは不確実なものである

こうしたリスクマネジメントができない人は、たとえ短期的には大成功しても、それを継続させるのはかなり難しいでしょう。なぜなら、ビジネスというのは、基本的に『不確実』なものだからです。

ビジネスにおいて、物事がすべて計画通りにうまくいくということは、まずありえません。どんなに完壁に見える計画でも、想定外の事態というのは常に起こりえます。それは、マキャベリの言う通り『この世の中に、完全無欠なことなど一つとしてありえないから』です。

そうである以上、『常に最悪を想定しておく』ことは非常に重要です。成功するには一か八かの大勝負をする度胸だけではダメで、被害を最小に抑えるリスクマネジメントの視点も必要なのです。

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