変わらない大切なもの

自分の欲望を肯定する

人間は欲深い生き物だと認識する

マキャベリは人間の本質について、さまざまなことを語っていますが、そのひとつに『野心は人間の心中に深く根をおろしているので、人間はどんな高位についたとしてもそれを捨て去ることはない』というものがあります。

出世したい、周囲に認められたい、異性にモテたい……。程度の差はあれど、こうした欲は人間なら誰しもが持っているもの。そして、人の欲はひとつ満たされても決して満足することなく、より上を求めて際限なく膨らんでいくのです。

これを読んで「自分はそんなに欲深くない」とか「いまの生活に十分満足している」と反論する方もいるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか?たとえば、いまのあなたの収入が25万円だとします。

あなたは、このお金で十分満足だと思っているかもしれませんが、もし収入が50万円になったとしたらどうでしょう。50万円の生活を体験したあと、もう1度、25万円の生活にすんなりと戻ることができるでしょうか。

おそらく多くの人は、なんとか50万円の生活を維持しようとするはずです。あるいは、ひとたび裕福な暮らしを知ると、今度は100万、200万とさらに上を目指すかもしれません。人間というのは基本的に欲深くて通俗的な生物なのです。

自己利益の追求が社会のためになる

ここで重要なのは、こうした『欲望』を頭ごなしに否定しないことです。欲という言葉には、どこか下世話で悪いことのようなイメージがありますが、「少しくらい欲深い人間でなければ、ビジネスでは大成しない」ものです。

それは、『欲望』こそが人間が行動する原動力となっているからに他なりません。実際、文明が発達したのは、その根底に「もっと快適で便利な暮らしがしたい」という人間の欲があったからです。もし、人間に欲がなければ、現代科学はここまで発展することはなかったでしょう。

これはビジネスも同じで、その根底にあるのは『もっと儲けたい」という金銭欲です。最近は、なにか『お金儲けを目的とすることは悪である」といった風潮がありますが、これは必ずしも正しくないのではないでしょうか。

たとえば、企業がよい製品をつくろうとするのは、なにも「世の中をもっと便利にしてあげたい」という親切心からではありません。もちろん、そういった面がまったくないとは言いませんが、心底では「より多くの利益を上げたい」という利己的な欲望があるでしょう。

つまり、自己利益の追求なのですが、そのようにお互いが自己利益を追求して競争することで、結果的に世の中には、より便利で高性能な商品が出回っていくことになります。

強欲すぎるのもそれはそれで問題があるのも事実ですが、一方で自分の欲を満たすための行為が、世の中の役に立つこともある。ビジネスに携わる人間なら、欲望にはそうした一面があるということも理解しておきましょう。

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