想像力の重要性
世の中には、自分が想定していない事ものでは、交通事故や突発的な災害などがその代表的な例でしょう。事故や災害では一瞬の判断が生死を分けることもあるので、そうした事態に備え、常に心構えをもっている人もいるでしょう。
しかし、普段から心構えをもっている人ですら、「何が起きても大丈夫」というわけではありません。なぜなら、人は自分が想定できる範囲外のことに対して、心構えをもつことはできないからです。
人が何かを想定するには想像力が必要ですが、想像力には限界があります。想像は一種のシミュレーションなので、自身が実際に経験したり見聞きして得た情報以外から、何かを生み出すことは難しいのです。
しかし、今日の情報社会では、さまざまな情報を得ることができます。たとえば、事故や災害の情報にもアクセスできるので、ときおりそうした情報に触れておき、自分がその立場に置かれた場合の対処を考えることもできます。
そして、得たり、触れたりした情報の種類が多いほど、さまざまな事態に対処できるようになるわけです。ビジネスの場でも同じで、突発的に生じた問題に対して迅速に対応できるかどうかは、その人の経験はもちろん、想定できていたかどうかが鍵になります。
これは何も突発的な問題だけではありません。日常で変化を感じることは少ないと思いますが、自分の意識に反して世の中の状況は絶えず変化しています。
ビジネスの場でも、日々変化し多様化していく市場のニーズや、技術の進化などで生じる社会の変化に対応していく必要があります。もっといえば、そうした変化が起きる前に予測し、あらかじめ手を打っておくのが優れたリーダーなのです。
普段から想像力を鍛えておく
マキャベリは『軍の指揮官にとって、最も重要な資質は何かと問われれば、想像力である、と答えよう』と述べています。戦争にも戦い方の基本となる戦術論などがありますが、それはあくまで基本です。
当然、敵の指揮官も熟知していることなので、そのまま実戦で使ったのでは簡単に裏をかかれてしまいます。軍の指揮官は、相手がどのように動くのかを何通りも想定し、それぞれの場合の対処法を考えておく必要があります。
指揮官の判断が戦いの勝敗、ひいては部下の生死に直結するだけに、指揮官にはいかなる事態をも想定できるほどの豊かな想像力が求められ、導き出した結論を裏打ちするのが経験になるわけです。
このように、想像力はリーダーにとって必要なものです。現在、部下をもつ立場にいるのであれば、普段からさまざまな事態に備えて想像力をやしなっておく必要があるでしょう。
そうした立場になかったとしても、想像力をやしなうことは無駄ではありません。部下をもつようになった場合に備えておくのも、また『想像力』なのです。