変わらない大切なもの

八方美人は賢い選択ではない

誰にでもいい顔をしない

「八方美人」という言葉があります。誰にでもいい顔をするへ特定の個人や組織に肩入れしない、常に中立の立場をとる。こうした対応は、一見すると賢明な選択のように思えます。しかし、本人は中立を気取って器用に立ち回っているつもりでも、人というのは案外こうした変化に敏感です。

そのため、短期的にはよくても、最終的には誰にも信頼されなくなる可能性があります。たとえば、会社で派閥争いが起きたとします。このとき、あなたはどちらの派閥にも属さず、両方にいい顔をしながら、中立を保ったとしましよう。

では、その結果、あなたの立場はよくなるでしょうか?答えは「ノー」です。なぜなら、勝った派閥にすれば、あなたは『いい顔をしながら、結局は自分たちに協力しなかった裏切り者』であり、負けた側にしても『調子のよいことを言いながら、最終的には自分たちを見捨てた薄情者』でしかないからです。

つまり、『中立を保ったから自分の身は安泰だ』というのは、まったくの幻想で、中途半端な態度をとることは、かえって自分で自分の首を絞めてしまうことにもつながりかねないのです。

「特別扱い」して味方を増やす

こうした中立の弱点については、マキャベリも『わたしは断言してもよいが、中立を保つことは、あまり有効な選択ではないと思う』と述べています。中立というのは、安全なようで、実はリスクのある選択なのです。

では、八方美人を止めて、味方を増やすにはどうすればよいのでしょうか?ポイントは『あなただけは特別だ』と思わせることです。つまり、誰にでもいい顔をするのではなく、相手によって対応を変えるのです。

たとえば、誰かに頼みごとをされた際、普通に承諾するのではなく、『ほかならぬ、あなたの頼みなら応えないわけにはいきませんね』と言ってみるなど、それとなく『あなたは特別ですよ』ということをアピールするわけです。

人間はこうした特別扱いに弱いので「お世辞かな?」と思っても、内心ではそう悪い気はしないものです。もちろん、誰にでも同じことを言ったのでは意味がありません。それは、結局は八方美人と同じことになり、単に調子のいいヤツと思われて終わりです。

あくまで、特定の人物だけに行うからこそ効果がある、と覚えておきましょう。ただし、特別扱いするといっても、本当に「この人は特別だ」などと思う必要はありません。重要なのは『相手にそう思い込ませる』ことであって、本心は別にあってもいいのです。

「相手を騙すようで嫌だ」と思うかもしれませんが、騙すといっても、それで相手がよい気分になり、結果的に仕事がうまくいくのであればなんの問題もありません。組織でのし上がるには、そのくらいの狡滑さは身につけておく必要があるのです。

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